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「かたつむり」で日伯の子ども交流――コシノジュンコ氏が発案

2014年7月22日 5:13 PM あそぶ--でかける

コシノジュンコ氏は、アートで日本とブラジルの子どもたちの文化交流を図る企画をプロデュースした。両国の子どもたちが、かたつむりの形をした画用紙に、それぞれ自由に絵を描いたものだ。ワークショップを行ったコシノ氏は、子どもたちに、「ほかの人が描けない、自分だけの作品をつくること」と声をかけた。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

展示会が行われている伊藤忠青山アートスクエアで、コシノジュンコ氏と矢柳剛氏

展示会が行われている伊藤忠青山アートスクエアで、コシノジュンコ氏と矢柳剛氏

7月18日、伊藤忠青山アートスクエアに、群馬県邑楽郡大泉町から日系ブラジル人10~18才の子どもたち25人が駆けつけた。集まった理由は、同スクエアで、日本とブラジルの子どもたちの文化交流を促進する展覧会「Opa! 陽気な黙示録」の開催記念イベントがあるからだ。

ダンスを披露する在日ブラジル人の子どもたち=伊藤忠青山アートスクエア前で

ダンスを披露する在日ブラジル人の子どもたち=伊藤忠青山アートスクエア前で

在日ブラジル人の子どもたち

展覧会では、コシノ氏と現代アート作家の矢柳剛氏の巨匠2人がそれぞれの業界を「越境」、コラボした作品が飾られている。加えて、コシノ氏の発案により、日本とブラジルの子どもたちが描いた絵が3100点ほど展示されている。

コシノジュンコ氏の作品

コシノジュンコ氏の作品

矢柳氏の作品「富士山」。かたつむりアートの発想は、この作品から生まれた

矢柳氏の作品「富士山」。かたつむりアートの発想は、この作品から生まれた

絵は、かたつむりの形をした画用紙に描かれており、日本からは宮城県石巻市や福島県飯舘村などの被災地に住む子どもたち、そして在日ブラジル人の子どもたちが描いた。ブラジル側は、今年3.11にサンパウロ市内の小学生が、東北の子どもへの応援メッセージとして描いた。

ワークショップを開催したコシノ氏は、「自分にしか描けない作品をつくること」と子どもたちに声をかけた。世界中で活躍するコシノ氏だが、ブラジルを舞台に仕事をするのは、今回が初だ。ブラジルと縁ができたのは、矢柳氏との出会いがきっかけだ。2009年に矢柳氏の作品を見て、ファッションとアートとのコラボの話を持ちかけた。

当初、コシノ氏は、矢柳氏のつくった作品にデザインを加えることが失礼に当たると思っていた。しかし、矢柳氏は、「社会には固定観念があるが、アーティストに国境はない。異なる分野で活動するコシノさんとコラボすることで、どんな空間になるのか楽しみでしょうがなかった」と振り返る。

矢柳氏は、ブラジルのサンパウロ近代美術館で個展を開催した実績もあり、同国を「第二の故郷」と呼ぶほどだ。こうした縁で、2人の展示会は、すぐさま同国にも広がった。2014年1月、サンパウロ市内にある文化施設インスティチュート・トミエ・オオタケで2カ月間ほど展示された。

現在、ブラジルで展示された作品の一部が、伊藤忠青山アートスクエアで7月31日まで展示されている。

日本とブラジルの子どもたちが描いたかたつむりアート

日本とブラジルの子どもたちが描いたかたつむりアート

子どもたちが自由に描いた

子どもたちが自由に描いた

ブラジルの子どもも、東北の子どもたちを思い絵を描いた

ブラジルの子どもも、東北の子どもたちを思い絵を描いた

■「自分の道を突き進んで」

初めて日本人がブラジルに移住したのは、1908年にさかのぼる。両国の交流が始まって今年で106年目。現在、約32万人の日系ブラジル人が日本国内で暮らしているが、言葉や文化の違いにより、社会進出が課題とされている。展覧会は「越境」をテーマとしている。アートを通じて、日系ブラジル人の子どもたちが、将来直面するであろう課題を乗り越えるためのエールも込めている。

コシノ氏は、「アート(ファッション)を通じて国境を取り除くことが私の仕事」と語る。「デザインの力で、国境の壁、業界の壁、言葉の壁を超越することをめざしている。今回のかたつむりアートも、子どもだからといって、手加減しないで真剣に向き合って生まれた。子どもの純粋な思いからできているので、まさにクリエイティブのかたまり。0から1を生み出した経験は、必ず今後の力になる」。

さらに、「思っているだけでは意味がない」と続ける。「思うだけで終わるのではなく、まずやってみること、そして、やりきることが、何事においても大切。ほかの人と違っても気にしないで、自分の道を突き進んで」と話した。

CSRの拠点として誕生した伊藤忠青山アートスクエア、今回は日伯文化交流を目的とした展覧会のようにも見えたが、巨匠である時代の先駆者から次世代へしっかりと想いが伝えられ、次世代育成の貴重な機会にもなっていることが感じられた。

「Opa! 陽気な黙示録」
とき:7月31日(木)まで
ところ:伊藤忠青山アートスクエア
入場は無料

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