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「すべての子どもに絵本を」西野亮廣さん絵本原画展、伊藤忠青山アートスクエアで

2015年8月3日 11:01 AM あそぶ--でかける

伊藤忠青山アートスクエアで8月2日から、「にしのあきひろ絵本原画展 in おとぎ町ビエンナーレ」が開かれている。同展では、漫才師(キングコング)西野亮廣さんが作家にしのあきひろとして制作した絵本作品の原画などが展示されている。これまでの「にしのワールド」を過去から順を追って見ることができる過去最大規模の個展となる。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

にしのワールドは大人も子どもも楽しめる 写真提供:和泉直蒼

にしのワールドは大人も子どもも楽しめる 写真提供:和泉直蒼

伊藤忠青山アートスクエアは、伊藤忠商事が社会貢献活動の一環として運営するギャラリーで入場を無料にして一般開放している。同ギャラリーでは、アートの力で社会問題の啓発を行っている。これまで取り組んできた展示会では、被災地支援や自閉症・ダウン症啓発、国際交流などをテーマにしてきた。今回は「次世代育成」という観点で、異業種からアートの世界に新しい風を吹き込む「にしのあきひろの多彩な世界」を支援する。

入口から独特の世界観が。写真提供:和泉直蒼

入口から独特の世界観が。写真提供:和泉直蒼

西野さんの作品は、ニューヨークの個展で注目を集めると、ボランティアの力で、全国各地で個展が実施された。今回の展覧会も、会場などは伊藤忠商事が提供したが、展示会場の創作物や設営などの費用は西野さんとその仲間がクラウドファンディングで集め、全国から集まったボランティアと共に1週間かけて「にしのあきひろの多彩な世界」を実現させた。

■作品をさっそく電子化に

西野さんがこれまでに制作した絵本は3作。作品は、黒一色、太さ0.03ミリのペン1本で繊細に描かれる。

8月5日には、西野さんが訪れお絵かき教室が開かれる。写真提供:和泉直蒼

8月5日には、西野さんが訪れお絵かき教室が開かれる。写真提供:和泉直蒼

西野さんは、自閉症の子どもたちの中には、繊細な絵を好む傾向があるという話を聞いて、自分の作品を一人でも多くの人に読んでもらいたいと思った。通常の書籍を読むことが困難な子どもたちへの支援として、児童書を電子化して無償で配布活動を行う公益財団法人 伊藤忠記念財団(理事長:小林栄三、以下「財団」)の電子図書普及事業の趣旨に賛同し、さっそく作家にしのあきひろの絵本「ジップ&キャンディ」(幻冬舎刊)の電子化を実現させた。

財団は2011年から、全国の特別支援学校、図書館、医療施設など500を超える施設に、「わいわい文庫」と名付けた電子図書をCDの形で寄贈してきた。この電子図書普及事業は、視覚障がいや発達障がいなどを持ち、通常の読書が困難な子どもたちへの支援として、児童書を電子化している。視覚障がいは高齢者に多いため、音訳や文字が拡大された一般の本は大人向けがほとんど。そこで、同財団は、子ども向けの児童書をパソコンやiPadなどのタブレット端末に取り入れることで、音声で読み上げる「マルチメディアDAISY(デイジー)」という手法で電子化を行う。

色が着いた箇所を読み上げる

色が着いた箇所を読み上げる

マルチメディアデイジーを製作しているのは、わずか2,3名のスタッフで、ナレーションなどはボランティアに依頼している。製作工程は、絵本をテキストに起こし、1文ずつ読み上げて、録音していく。児童書なので、登場人物の感情の起伏が多くあり、文章の読み方にも細心の注意が必要。1時間の作品を作るのに50時間もかかるのだ。非常に手間がかかるため、製作を手がける機関が少ないのが実態だ。

ナレーション作業の様子

ナレーション作業の様子

こうした電子図書を必要としている子どもは増えている。特別支援教育を受ける生徒数は、2008年には23万4153人だったが、2012年には36万人を突破した。文部科学省の調査では、通常学級に通う子どものなかで、読み書きに特別な支援が必要とされる生徒は2.4%とされ、都内の小学校だと2クラスに1人はいる割合だ。

子どもたちの読書の可能性を広げる電子図書。普及への課題は作品数を増やすことだ。わいわい文庫には、子どもたちに人気がある児童書約150点が収録されている。子どもたちの様々なニーズに応じられるように、多様なものを作っていく必要がある。

電子化を行った「Zip&Candy(ジップ&キャンディ)」(幻冬舎刊)のナレーションの吹き込み作業は、西野さんが仕事の合間に全てボランティアで引き受けた。

西野さんは、「自分の絵本を朗読するのは少し恥ずかしかったですし、何より声が汚くて申し訳ないのですが(笑)、でも、真面目に向き合いました。『Zip&Candy』は、自分と自分が大切にしている人の運命を受け止め、その中でジタバタともがく少年の物語です。この物語が、少しでも皆さんの後押しになると嬉しいです」とコメントした。

同展では、ジップ&キャンディの原画も展示され、西野さんがナレーションを手掛けたマルチメディアデイジー図書も会場で体験することができる。2016年度より、希望する全国の特別支援学校へ無償で寄贈される。
(問合せ先は、伊藤忠記念財団

展覧会の会期は、8月2日から29日までで、入場料は無料。8月5日には、西野さんのお絵描き教室が行われる。

【2015年キングコング西野亮廣個展 『にしのあきひろ絵本原画展in おとぎ町ビエンナーレ』】
主催:株式会社タグボート
共催:伊藤忠商事株式会社
会期:2015年8月2日(日)~29日(土)
開催時間:11:00~19:00 会期中無休(金・土12:00~20:30、8月2日11:00~16:30)
会場:伊藤忠青山アートスクエア
(東京都港区北青山2丁目3-1シーアイプラザB1F ℡:03(5772)2913)
入場料:無料

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