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田附勝・石川竜一写真展「東北・沖縄」 伊藤忠青山アートスクエアで

2016年9月8日 5:14 PM あそぶ--でかける

伊藤忠青山アートスクエアでは9月19日まで、田附勝・石川竜一写真展「東北・沖縄」が開かれている。両者は、「写真界の芥川賞」とされる木村伊兵衛写真賞を受賞した現在注目されている新進気鋭の写真家。企画したのは、写真評論家の清水穣氏。清水氏は、田附氏の作品を「歴史」とし、石川氏の作品を「現在」と評した。「同様な才能を持つ2人の作品をあえて対決させた。写真そのものの魅力を感じてもらいたい」と話す。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

今回の写真展を企画した清水氏

今回の写真展を企画した清水氏

この写真展は、次世代育成を目的に企画され、会場となる伊藤忠青山アートスクエアは、伊藤忠商事が社会貢献活動の一環として運営するギャラリースペース。展覧会を通して、「次世代育成」や「地域貢献」などを行う。今回は、若手写真家の登竜門である「写真新世紀」の審査員でもあり、写真評論家の清水穣氏をキュレーターに迎えて、写真展を企画した。

写真展のタイトルは、「東北・沖縄」。清水氏は、「東北と沖縄は日本の写真史の中でも特権的な被写体であり続けてきた。只、それは、メディアや歴史を通じた、私達が見たいものを投影され続けてきたということでもある。現地の人々との出会いや、生活を共にして撮影してきた二人の作品は、『見たいもの」ではなく、あるがままの東北と沖縄の姿を映し出していて、都会のど真ん中で、あるがままの二つの地の姿を見せたい」と話す。

作品を展示している2人は、現在注目されている新進気鋭の写真家だ。田附氏は2006年から東北に通い、地元住民とコミュニケーションをとりながら写真を撮り続けてきた。清水氏は、「縄文時代からの連続性を感じる作風」と評価する。

田附氏の作品では東北の伝統を伝えている

田附氏の作品では東北の伝統を伝えている

今や東北と聞けば、震災や原発等をイメージされる人が多いだろう。今回の作品は2006年7月から2011年4月までと、ほぼ全て震災以前に撮影された作品だ。東北に住む人々や風土、祭り、信仰、現地に根差す文化が被写体となっており、作品の細部に現地に流れる力強さと伝統が感じられる。そして田附氏自身がそれらと真摯に向き合い、敬意を払っていることもよくわかる。

伝統だけではなく、東北の未来を担う次世代の姿も力強く映し出されている

伝統だけではなく、東北の未来を担う次世代の姿も力強く映し出されている

今回唯一震災後に撮影された作品は、こちら。青森県の大久喜に建立された鳥居の一部分だ。震災の津波によって鳥居が倒れ、数年ののち、アメリカ、ポートランドに流れ着いたという

今回唯一震災後に撮影された作品は、こちら。青森県の大久喜に建立された鳥居の一部分だ。震災の津波によって鳥居が倒れ、数年ののち、アメリカ、ポートランドに流れ着いたという

田附氏が現地に渡って撮影した東北の姿だ。「津波は、日本に大きな被害をもたらしたが、同時に、海の向こうの人とつないでくれる。海は自然の脅威である一方で世界を繋いでいる存在なのだということを表現している」と清水氏は語った。

石川氏は、沖縄の宜野湾市の生まれ。作品では、沖縄の日常をとらえた。一般的に沖縄のシンボルとして、米軍基地やひめゆりの塔が連想されるが、石川氏の作品にはそれらは出てこない。写っているのは、路上で寝転ぶ大人たちや、米軍基地で遊ぶ子どもたち、そして、LGBTなどだ。石川の作品が持つ鮮烈な色合いは暗い影を生み、不安定な沖縄の実情も写しだす。

清水氏は、「戦後社会の矛盾を押し付けられている沖縄住民の日常を活写した作品からは、ヒリヒリとした鬱屈や怒りのようなものを感じる」と言う。沖縄に生まれ育った石川氏だからこそ、「被写体に写っている人と同じ感情や感覚を共有できるのでは」と清水氏は推測する。

石川氏が写した「沖縄の現在」

石川氏が写した「沖縄の現在」

今回の写真展の裏のテーマは「対決」だ。清水氏は、同じような才能を持つ若手を対比させることで、写真そのものの魅力を感じてほしいという。

2人とも正方形の画角を得意とする写真家だ。通常、写真は長方形の画角だが、正方形にすることによって、被写体に重みや奥行きを持たせる効果が出る。作品の中にいる人物が飛び出してくるようにも見える。

日本人が入れない米軍基地で遊ぶ子ども

日本人が入れない米軍基地で遊ぶ子ども

この写真展の期間は、9月19日まで。入場は無料。9月10日14時から15時で、清水氏と田附氏と石川氏のトークショーが行われる。作品について、それぞれが思いを話す。

この写真展終了後、清水氏による第2弾の写真展を9月22日から10月2日まで行う。写真家の中島大輔氏によるiPhoneで撮影した写真展だ。会場には、100台のスマートフォンやタブレットが並び、作品を展示する。鑑賞者がモバイル端末で撮影できる立体作品も予定している。

【田附勝・石川竜一写真展「東北・沖縄」】
とき:9月19日まで(月)11:00~19:00(会期中無休)
ところ:伊藤忠青山アートスクエア(東京・港)
入場料:無料
*トークショーイベントは、9月10日(土)14:00~15:00 (申込不要・当日先着順)

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