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若手作家が描く「酉」展――伊藤忠青山アートスクエアで

2016年12月27日 6:29 PM あそぶ--でかける

伊藤忠青山アートスクエアで、「アートで祝おう2017酉 とりどり展」が行われている。同展覧会では、35歳以下の若手アーティスト110人が来年の干支である酉をテーマに描いた作品を飾っている。アーティストのなかには、美大生も多く、美術界の将来を担う卵たちの作品に出合える。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

若手アーティストが描く「酉」が新年を祝う

若手アーティストが描く「酉」が新年を祝う

伊藤忠青山アートスクエアで干支をテーマにした展覧会が開かれるのは2014年から続いて3回目。同ギャラリーは、伊藤忠商事がCSR活動として運営している。アートを通して、「次世代育成」や「地域貢献」を行う。

今回の展覧会は、若手アーティストの知名度を上げる機会として、企業、百貨店、画廊が協力して行った。伊藤忠商事は、本社横に位置する伊藤忠青山アートスクエアの会場提供を行い、若手アーティストの支援を行う八犬堂が110人の若手をキュレ―ションした。

年明けから、伊勢丹新宿本店本館7階でも、連動企画として、若手アーティストの展覧会が行われる。両方の会場でスタンプを押した来場者には、抽選で30名に酉が描かれたオリジナル手ぬぐいがプレゼントされる。

展覧会には、絵や切り絵、彫刻など、若手アーティストそれぞれが得意な方法で制作した作品が飾られている。展示している作品はすべて購入することもできる。

フィギア型の作品も

フィギア型の作品も

■交通事故が転機

静岡県出身の笹野井ももさん(東京藝術大学美術学部彫刻科3年)は、直径30センチのケヤキの丸太を使って作品を制作した。丸太の表面に空洞を彫り、その穴にクスノキで彫った鳥を浮かばせるように設置した。作品名は、「ひこばえ」。

ひこばえとは、樹木の切り株から生える若芽のことを指す。丸太から伸びる1本のひこばえが、アクセントになっている。

笹野井さんは、あえて鳥を主張する作品ではなく、タイトルにもあるように丸太から生えるひこばえであったり、丸太そのものをどう見せるかという試みで制作した。穴をコンサートのステージに例え、飛び立つ鳥を盛り上げる。

作品と写る笹野井さん。ケヤキの丸太はSNS経由で知り合いにもらったという

作品と写る笹野井さん。ケヤキの丸太はSNS経由で知り合いにもらったという

笹野井さんはアートフェアに参加した経験は、「ほとんどない」という。この作品には、まだ買い手は付いていないが、福祉事業所とパッケージコラボしたギフトは売れた。自分の作品が評価されたことで、「うれしかった」と素直に思いを話した。

笹野井さんは幼い頃から絵を描くのが好きで、油絵に強い関心があった。美術科のある高校に進み、「3次元でモノを捉えたほうがおもしろそうだから」という理由で、彫刻を学び始める。

制作する作品に変化が起きたのは、大学生の頃だ。交通事故に遭い、3カ月ほど入院した。かろうじて右手だけが動かせる状態だったので、絵を描いて過ごした。

その後、退院すると、精神面で強い不安を抱くようになる。笹野井さんは、「体を動かして彫刻作品を作り上げたときに、自分自身の存在を確認できた」と話す。

■展示が「成長につながる」

伊藤忠青山アートスクエア賞を受賞した魚谷彩さんは、「こんな立派な会場で、展示させていただけるとは思っていなかった。本当に嬉しい」と受賞した喜びを話す。魚谷さんの作品名は、「明けの鳥」。作品について、「生命感と力のイメージとして鶏を切りたいと思った」と話す。

「生命感のある鶏を表現するために白い紙をどのように切っていくのか考えながらの制作はとても楽しかった。 特に目のハイライトは切り抜かない表現として良くできたと思っている」

魚谷さんの作品「明けの鳥」

魚谷さんの作品「明けの鳥」

魚谷さんは切り絵を得意とする。切り絵に関心を持ったきっかけは中学生の時。当時、魚谷さんは美術部に在籍していた。周囲にはイラストが上手い部員が多く、「彼らとは違う、私にしかできない面白い作品を作るためにはどうすればよいのかを考えていた」と言う。そうして、「紙を切る」ということを思いついた。

若くして東京都心で作品を展示することについては、「多くの人に作品を見てもらうことで、作り続けるモチベーションにつながる。来場者と話しができることがアーティストとして成長につながる」と話す。

会場の一角には、彼女の作品が20点ほど飾られている。魚谷さんは、作品を見た人が幸せを感じ、癒されてくれたらうれしいと言う。

「アートで祝おう2017酉 とりどり展」は1月15日まで。1月7・8日には、若手アーティストの指導を受けながら、缶バッジをつくるワークショップを行う。

【アートで祝おう 2017「酉 とりどり展」】
主催:八犬堂
共催:伊藤忠商事株式会社
特別協力:株式会社三越伊勢丹
会期:行く年 2016年12月23日(金・祝)~12月28日(水)
来る年 2017年1月4日(水)~1月15日(日)
開催時間:11:00~19:00 会期中無休
会場:伊藤忠青山アートスクエア(東京都港区北青山2丁目3-1シーアイプラザB1F)
入場料:無料

【ワークショップ オリジナル缶バッジを作ろう!】
会期:2017年1月7日(土)、8日(日) 14:00~16:00
若手作家から指導を受け、絵を描いて自分だけのオリジナル缶バッジを3個作るワークショップです。
参加料:500円 各日先着30名
イベントの申し込み方法:事前予約制。お電話にてお申込みください。
伊藤忠青山アートスクエア
TEL:03-5772-2913

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