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紛争で傷ついた女性の自立支援 NPOが洋裁店立ち上げ

2016年6月5日 8:14 PM まなぶ--グローバル

「戦争で傷付いたコンゴ民主共和国(以下、コンゴ)の女性に必要なのは、尊厳を取り戻すこと」――認定NPO法人テラ・ルネッサンス代表理事の小川真吾さんは言う。同団体は、元子ども兵や紛争で傷付いた女性の自立支援などを行なっている。現在、クラウドファンディングサイト「READY FOR?」で、コンゴ紛争で傷付いた女性の自立支援を目的とした洋裁の技術指導と、洋裁店設立のための資金を集めている。(横浜支局=細川 高頌・横浜国立大学教育人間科学部人間文化課程4年)

女性の社会復帰を支援する。中央が小川さん

女性の社会復帰を支援する。中央が小川さん 提供:認定NPO法人テラ・ルネッサンス

小川さんは1998年〜2000年まで、独立行政法人国際協力機構(JICA)が派遣する青年海外協力隊として活動。活動中、野球の指導のために訪れたクロアチアで、17歳から兵士として働いていた元子ども兵の女性と出会った。

「私の故郷にはクロアチア人とセルビア人が暮らしていて、私はセルビア人の幼馴染の家族に銃を向けたの。そのトラウマが忘れられない」。そう話す女性の言葉に衝撃を受けた。帰国後、留学などを経て子ども兵や戦争で傷付いた女性が社会復帰するための支援を始めた。子ども兵や女性の被害について調べれば調べるほど、アフリカの惨状に行き着いた。「深刻な状況にあるアフリカで支援をする」。そう決めた。

コンゴの支援を始めたのは2007年から。その背景には、「史上最悪の紛争」と呼ばれるコンゴ紛争があった。1998年に始まったコンゴ紛争の死者は約540万人。20万人以上の少女や女性が性的暴力の犠牲となった。

人権NGO(非政府組織)ヒューマン・ライツ・ウォッチは、コンゴ東部で起こっているレイプ被害について、「紛争の全当事者が虐殺やレイプを繰り広げている。被害者の中には、9歳の少女も含まれていた」と指摘している。

プログラムに参加する女性

プログラムに参加する女性 提供:認定NPO法人テラ・ルネッサンス

彼女たちの多くは今も、精神的、身体的に深い傷を負っている。小川さんは「中には、性的暴力を受けたことにより、被害女性が家族や村のコミュニティーから追放されたというような例もある。そのような女性が、男性に依存しななくても自立して生きていけるような支援が必要だ」と話す。

傷付いた女性の支援のために小川さんたちが始めたのが、洋裁の技術指導と洋裁店開設のための支援だ。洋裁技術の支援をしている団体の中には、洋裁の技術を教えたあと、ミシンなどの設備を置いて帰る団体も多い。しかし、洋裁ができることとそれを実際に売ってお金を得ることの間には大きな溝がある。「ビジネスの考え方を身につけてもらうことも大切」。そのような思いから、テラ・ルネッサンスでは洋裁店を設立し、実際にお金を得るための指導も行っている。

プログラムの参加者の一人は、当時13歳だった。12歳の時に被害にあい、家族から見放された。プログラムを通して徐々に表情が明るくなった。「洋裁の技術が私を救ってくれた。洋裁をしている間は、嫌なことを忘れられる。前を向いて歩いていける。自分で初めて収入を得られて、大きな自信になった」。彼女は今も洋裁で収入を得ている。

しかし、金銭面や技術を指導する人手不足の問題もある。それらの理由から、参加希望者全員を受け入れられていないのが現状だ。小川さんは「知れば知るほど、紛争によるコンゴの被害は大きいことが分かる。しかしその中でも、現地の人々は日本人以上に前向きに日々を生きている。そういった人々が自立できるよう、一緒に考え、行動して欲しい」と話す。

資金不足の課題を解決するため、テラ・ルネッサンスは今、クラウドファンディングサイト「READY FOR?」で寄付を集めている。クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集める仕組みだ。

寄付者にはその金額に応じて、写真付きのサンクスメールやイベントへの招待、小川さんのサイン入り著書などのリターンがある。今回のプロジェクトは6月17日午後11時までに4,200,000円が集まれば成立する。

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