まなぶ

MOOCsは「面白さ」が欠けているから日本では流行らない

2014年1月15日 12:10 AM IT×ソーシャル--まなぶ

大学講義動画をインターネット上で無料提供するMOOCs(Massive Open Online Course ムークス)が世界中で流行っている。日本もその流れを受けており、今春から東京大学やNTTドコモ、住友商事などの産学が連携したプロジェクトとしてJMOOCs(ジェイムークス)が動き出す。しかし、「ムークスだけでは教育は変わらないし、日本では流行らない」と指摘する若手ベンチャー社長がいる。生放送にこだわるオンライン学習サービス「schoo(スクー)」を経営する森健志郎代表(27)だ。(聞き手・オルタナS副編集長=池田真隆)

面白い学習体験を追求するスクーの森代表

――ムークスの草分けとして知られる米のサービスCoursera(コーセラ)の会員数は400万人、edXでは120万人、さらに2013年に中国版のムークスも立ち上がりわずか1年で300万人ほどの会員が集まったとされています。しかし、「ムークスだけでは教育は変わらない」さらに、「ジェイムークスが、もしその海外のムークスを踏襲したものであるならば、日本では流行らない」と断言します。その根拠を教えてください。

:「無料の動画学習コンテンツが存在していないこと」が、日本人が学ばない理由ではないからです。日本人が今学んでいない理由をシンプルに考えると、「面白くないから」の一言に尽きます。

確かに、ムークスという仕組みは、インターネット上に録画の学習コンテンツを大量にアップロードしているため、誰でもいつでもどこでもアクセスすることが可能です。論理的に考えると、非常に便利で効率のよいモデルでしょう。

しかし、想像してみてください。大学教授の講座をただ1人で観ているだけで、面白いでしょうか。受験や資格の取得などの明確な目的がある人はそれでも良いと思いますが、世の中の大半の人は、退屈に感じてしまうのではないでしょうか。

そして、その講座を一人で頑張って受講できるような強い目的意識と学習意欲の高い人のほとんどは、学校通学や書籍などの既存の学習手法で十分学ぶことが出来ているはずです。

既存の学習における「強い目的意識や学習意欲を持っていない人が感じてしまう退屈さ」を変えないと、いくらインターネット上に録画の学習コンテンツを大量にアップロードしても、学ぶ人は増えませんし、教育は変わりません。

この背景には、米と日本の教育環境の差が大きく影響しています。米や中国は日本に比べ、国土も広く貧富の差も大きいです。学びたくても書籍すら買えない人がたくさんいる。だからこそ、ムークスのようなサービスは多くの人に共感を抱かれ、大きな市場や大きな社会問題を解決する糸口になりえた。

決して日本に貧富の差がないとは言いませんが、あくまで総論として、日本のように義務教育の水準が高い国では、ほとんどの人が学校・図書館に通うことができ、書籍を購入することができる。「学習コンテンツ」にいつでもどこでも、既にアクセスできています。

すでに学習にアクセスできる国に必要なのは、さらなるコンテンツのアップロードではなく、既存の学習コンテンツや選択肢を凌駕する「面白い学習体験」だと、スクーを経営してきた2年間で実感しています。

――「面白い学習体験」の「面白い」とは、どういうことでしょうか。

:私たちはそれを「ヒトの存在」そして「コミュニケーション」だと定義しています。学生時代を振り返ってみてください。思い出に残っている授業はどんなものでしょうか。おそらく、クラスのムードメーカーがふざけて先生に怒られている瞬間や、隣の席に座ったかわいい女の子から鉛筆を借りたときなど、多くの場合、コンテンツ自体ではなく「ヒト」から「派生する何か」があった授業ではないでしょうか。

つまり、「人」とコミュニケーションやそこに集まる人同士が引き金となって生まれた体験だと思います。だからスクーでは、インターネット生放送で学習コンテンツを配信しています。同時にたくさんのヒトがそこに集うことで、先生と、または生徒同士と、気軽に意見を交し合える動的な体験をつくりあげました。

生放送という形が「面白い学習体験」の唯一最適な答えかは分かりませんし、世の中の技術進化によって変わっていくと思います。しかし断定できるのは、日本国内で学習録画コンテンツを収集するだけのモデルでは面白いと感じられるものは生み出せず、大きな市場変化、大きなビジネスをつくりだすことは不可能です。私たちスクーは、インターネットの力を生かして、インターネットだからこそできる圧倒的に面白い学習体験をつくりあげることを目指しています。

――スクーには、約6万人のユーザーが在籍し、月に40~60本の生放送を配信していますね。1本の視聴者はどれくらいでしょうか。また、今はIT領域での起業やWEBデザインに関する学習コンテンツが多いですが、今後踏み込んでいきたい領域はありますか。

:今は日に1~3本(19時半~、21時~、22時半~)放送していて、平均で1000人ほどが生放送授業を受講しています。多いものでは、企業における資金調達の授業で4000人以上が受講したこともあります。

今後は、ライフスタイルや一般教養についても取り扱っていきたいですね。例えば、ヨガやフィットネス、料理なども面白いかもしれません。それに、社会をにぎわす、政治・経済・歴史問題について考えるコンテンツも意義があって良いと思います。

私たちが目指すのはあくまで「インターネットだからこそできる圧倒的に面白い学習体験」が生まれる仕組みをつくること。学習コンテンツのジャンルは、段階的・網羅的に広げていければと考えています。

ウェブに誕生した新しい学校「スクー」はこちらから

【生放送授業に特化したiOSアプリ『スクー生放送』がリリース】

『スクー生放送』は、今までschoo WEB-campus(WEB版)で提供していた生放送の体験そのままを、アプリから操作でき、時間などの都合で参加できなかった学生や、今後様々な時間帯に開講予定の授業を、いつどこにいても受講することのできる無料アプリです。

アプリでは、WEB版同様、生放送授業への参加が可能なほか、以下の機能が利用可能です。
・自分の気になる授業を「受けたい!」ボタンで登録・管理
・「受けたい!」登録した授業の直前通知、毎月40コマ以上追加される新しい授業のお知らせ
・授業中のタイムラインへのチャット投稿・質問投稿また、受講者同士のチャット投稿
・自分自身の「学び体験」を表現する「なるほど」ボタン

http://schoo.jp/lp/ios

関連記事

    関連する記事はありません。