まなぶ

シェアエコは、地方を救うか (1)―シェアリングシティとは

2017年1月30日 11:40 AM IT×ソーシャル--まなぶ

世界に先駆け地方自治体の少子高齢化、人口減少が深刻化する日本社会。地域の過疎化が広がり財政難を叫ぶ自治体も増えるなど、既存の地域活性における「公助の仕組み」が限界を迎えている。そのような中、2016年11月、秋田県湯沢市、千葉県千葉市、静岡県浜松市、佐賀県多久市、長崎県島原市の5つの自治体が、シェアリングエコノミーを通じた「共助」による地域課題の解決を目指す、「シェアリングシティ宣言」を共同発表した。シェアリングエコノミーは、地方を救う新たな打ち手となるのか。地域に広がる個人間の「共助」の可能性を探りながら、サステイナブルな地域社会の実現を紐解いていく。(シェアリングエコノミー研究家=石山 アンジュ)

シェアで社会的課題を解決する自治体が増えている

■「シェアリングシティ」とは

シェアリングシティとは、都市や街中の空間、モノなどの遊休資産を活用したり、シェアリングエコノミーサービスによってモノや人のスキルをシェアしたりするような活動の推進を、積極的に行い地域課題を解決していこうとする地域のこと。
 
シェアリングシティの概念を導入することで、地域における人口減少の問題や、子育て・介護などの地域共助、地域の市民が観光の担い手となるなど、あらゆる地域の課題を解決し、民間経済によって財政的負担を軽減し、サステイナブルな社会を創る新たな手段として、大きな関心が寄せられている。

自治体の課題とシェアリングエコノミー領域事例 ※出典:シェアリングエコノミー協会

■シェアリングエコノミーの普及で期待できること

女性やシニアの社会進出
女性やシニアが空き時間を活用し、家事の代行や畑仕事の手伝いなどができる機会を作ることで、女性やシニアが地域に暮らしながら仕事が可能な就業機会の創出が期待できる。

共助による教育・社会福祉の充実
個人のスキルや知識を他者へ共有する機会の推進や、地域間で子どもの送迎や見守りの助け合いを推奨することで、地域内の学習機会の充実や、子育てしやすい環境づくりが期待できる。

公共交通インフラの創出
個人間の自動車の相乗りや、シェアサイクルを導入することで、過疎地域での代替公共交通手段として期待できる。

観光振興
地域に住む個人が、観光客に対し民泊のホストや、観光ガイドのホストになることで、宿泊施設需要への対応や、地域体験型の観光業の活性化が期待できる。

遊休施設(公共施設、空き家など)の活性化
個人が所有する空いているスペースや駐車場、自治体が所有する活用されていない公共施設などを貸し出すことで、空き家・空き部屋の利活用など遊休資産の活性化が期待できる。

■シェアリングエコノミーの普及における課題も

一方、日本では、地方行政がシェアリングエコノミーを活用した地域活性を目指すに当たっては、既存の条例や制度等では違法となってしまうケースや、個人の安全性担保の問題など障壁も多く存在する。

そのような中、政府は2016年11月、シェアリングエコノミー推進プログラムを公表し、今年1月には自治体への情報提供・相談窓口機能の整備や、ルール整備に向けた官民の調整機能、伝道師派遣等の機能等をもつシェアリングエコノミー促進室を設置した。またライドシェアや民泊領域などでは、既に自治体とシェア事業者が協働で実証実験を行い、課題の特定・解決策の検証などを開始している事例も出てきている。

シェアリングエコノミーは地方を救うのかー。個人が主体者となり、ともに助け合う共助の社会を実現していくには、行政・シェア事業者の努力だけでなく、地域に住む私たち一人ひとりの意識改革、アクションが必要である。


石山アンジュ:
シェアガール(シェアリングエコノミー研究家)
一般社団法人シェアリングエコノミー協会事務局担当、クラウドワークス経営企画の傍ら、世界各国のシェアサービスを体験し「シェアガール」の肩書で海外・日本でメディア連載を持ちながら、シェアリングエコノミーを通じた新しいライフスタイルを提案するシェアリングエコノミー研究家。

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