はたらく

要介護者らへの訪問美容、表情も気持ちも明るく

2013年11月5日 8:05 PM はたらく--挑戦者たち

東京都に住む小池由貴子さんは、歩行困難者や要介護者への「訪問美容」を通して、生きがいを与える社会起業家だ。7年前、自宅で車椅子生活を送ったとき、髪の毛は乱れ、化粧もしなくなった。容姿に自信がなくなり、人と会うことを避けるようになった。この原体験をバネに、「美の力で障がい者らと生きがいを共有したい」と意気込む。(オルタナS副編集長=池田真隆)

社会起業大学のソーシャルビジネスグランプリ2013夏スタートアップ部門大賞で共感大賞を受賞した小池さん

小池さんが美容師になった背景には、祖母の存在がある。原因不明の脱毛症で、常にカツラを被り、美容院に行くことを避けていた。「祖母のように、美容院に行きたくても、行けないような人の気持ちが分かる美容師になりたい」と決意し、美容師の専門学校に入学した。

専門学校を卒業し、池袋にある若者向けのサロンで働いた。美容師が社会起業家へと変わる転機は28歳のときに訪れる。骨巨細胞腫を患い半年間、自宅で車椅子生活を送ることになった。

髪の毛が伸びきってしまい、容姿に自信がなくなり、外出することや人と会うことを避けるようになった。あるとき、仲の良い後輩が自宅に遊びに来た。前髪を5センチほど切ってもらい、このことで、気持ちが変わったと言う。外出する機会も増え、車椅子のままで、服も買いに行けるようになったのだ。

この経験から、「自宅で療養している人の多くは、容姿に悩みを抱えているはず。訪問美容で容姿を整えてあげれば、自信を取り戻せる」と実感した。

リハビリを終え、店舗に復職した。起業することを念頭に置きながら、約2年間店長として務めた。2年後に退職し、個人事業主として、訪問美容の道に携わりだし、「訪問美容と和」を立ち上げた。

現在は、小池さん含め4人のスタッフで稼動している。年末には、訪問美容と和を株式会社化する予定だ。訪問美容は、自宅で美容室と同じサービスを可能にする。

1畳分のスペースがあれば、美容室に変わる

カットやカラーに加え、ネイルやエステも提供する。シャンプー台など美容道具は揃えてあり、1畳ほどのスペースがあれば対応できる。施術前には、アイパッドを使って、どのような髪形が似合うのかカウンセリングを行う。

料金は、カット1時間で5250円から受け付けており、ネイルケアは30分2625円、エステは20分で1575円だ。訪問範囲は、東京23区内だ。

小池さんは、「髪の毛を切ったことで、外出できるようになり、働きたいと思うようになったという声を聞く。美の力で生きがいを見つけるサポートをしていきたい」と話す。

訪問美容と和

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