はたらく

大船渡の漁師と農家ら200人で作ったログハウス、小学生の学び場に

2014年11月10日 10:37 AM はたらく--挑戦者たち

岩手県大船渡市赤崎町字佐野地区に、小さなログハウスがある。そこには、8人がけのテーブルが一つと、全国から寄贈された小学生向けの絵本約500冊が本棚に並んでいる。木の温もりを感じるこのハウスは、地元住民とボランティア総勢200人が1カ月半をかけて建設した。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

ログハウスの名称は、「なかよしブックハウス」。地元小学生たちが名付けた

ログハウスの名称は、「なかよしブックハウス」。地元小学生たちが名付けた

このログハウスの名称は、「なかよしブックハウス」。名前をつけたのは、佐野地区に住む小学生たち。主にこのハウスには、佐野地区に住む9人の小学生が通っている。伊藤忠記念財団などからの寄贈で、約500冊の絵本が並んであり、返却期間無期限で貸し出している。

同地区に住む小学5年生の佐々木赳くん(10)は、「学校の教科書に載っている人の本を読むのが好き」と話す。教科書では、抜粋された一部しか読めないため、物語を最後まで読めることに楽しさを見出す。

バス停から徒歩5分以内の場所にあるため、本を読みながら宿題をしたり、夏休みの自由研究の下調べに子どもたちが集まってくる。このハウスを管理している、赳くんの母親・千恵さんは、「子どもたちは、読みたかった本と出合えてうれしそうにしている。好きな箇所に付箋をつけたりしている」と言う。

ログハウスの中には、500冊の本

ログハウスの中には、500冊の本

伊藤忠記念財団が助成した絵本

伊藤忠記念財団が助成した絵本

ログハウスは、朝9時から18時ごろまで空いており、鍵は知恵さん以外にも、近隣に住む3軒が持っている。

同ハウスが建ったのは、2013年5月19日。もともと同地区には、公民館の2階に書庫があった。しかし、津波により、被災し、読める本がなくなってしまった。

公民館を高台に、プレハブで建設した。一時はその中に、本棚を設置していたが、公民館のスペースが狭かったため、書庫専用の施設を建てたいと、加藤憲夫館長は考えた。加藤館長は、「どうせ建てるなら、ログハウスがいい」と決めて、市役所にログハウスの建設費を問い合わせた。

そのとき、偶然にも、フィンランドの会社が一軒ログハウスの材料を寄付しており、もらい手を探していると情報を得た。加藤館長は、すぐに「欲しい」と返事をした。ただ、届けられたのは、ログハウスを建てるための材木だけ。

加藤館長は、「一緒に作ろう」と地元住民に呼びかけた。集まってきたのは、漁師や農家など、建築経験のない60代の男たち。慣れない丸太切りや釘打ちの作業に苦戦していたという。加藤館長は建築業をしていたので、図面を描くことができ、仲間に指示していった。

地元のお母さんたちは、暑い日は冷たい飲み物と甘いお菓子、寒い日は温まるお茶を振舞った。大人たちの姿を見た子どもは、自分たちでその建築過程を大きな模造紙にまとめた。作り手の顔写真をはり、それぞれにコメントをもらった。その模造紙は、ログハウス内に今でも張られている。

2013年3月後半から作り始め、1カ月半でついに完成した。県外からもボランティアが集まり、建築作業にかかわった人の数は200人を超えていた。まさに、みんなの家だ。加藤館長は、「子どもたちの学び場に、大人たちには、お茶っこの場になればいい」と話す。

本を寄贈した団体の一つ伊藤忠記念財団の中島事務局長は「佐野地区の皆さんが力を合わせて作り上げたログハウスの中に、寄贈でき、地域の小学生の皆さんに喜ばれているのを伺い大変うれしく思う」と話す。

同財団は1974年の設立当初から40年間、青少年の健全育成を目的に「子ども文庫助成事業」を活動の柱として取り組んできた。2013.年までの38年間で国内外延べ1874件、総額約9億6000万円の助成を行った。

2011年からは東日本大震災復興読書支援も実施。伊藤忠商事の株主からの賛同を得て、株主召集通知の電子化で節約された費用、及びその同額を同社が財団へ寄付している。伊藤忠記念財団は、その資金で、図書館、公民館、小学校など34団体に同財団が選書した100冊の絵本49セットを寄贈しており、今回はその一環で佐野公民館に贈られた。

本の助成を求めて同財団へは、毎年複数の応募が集まってくるという。助成先の選考は、職員が現地を訪問して、購入費の必要度を基準に選んでいる。中島事務局長は、「多くの子どもたちの読書の啓発につながる活動に支援していきたい」と意気込む。

◆東日本大震災読書支援の詳細はこちら


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