はたらく

「脊髄損傷になっても選択肢を」 特設サイト開設へ

2016年5月9日 11:26 AM はたらく--挑戦者たち

脊髄損傷になっても歩くことをあきらめない一人の男がいる。都内の大手企業に勤務する木戸俊介さん(30)だ。「脊髄損傷になっても選択肢を増やしたい」という思いで、海外の再生医療の情報を集めた特設サイトをつくろうとしている。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

オーストラリアでリハビリをする木戸さん

オーストラリアでリハビリをする木戸さん

木戸さんは昨年4月、交通事故に遭い、脊髄を損傷した。医師からは「一生歩けない」と宣告されるも、歩くことをあきらめなかった。リハビリ医療が発達している海外に活路を見出し、今年4月から7月末までオーストラリアにリハビリに向かった。

現地でのリハビリ生活を記録して、特設サイトに掲載する予定だ。サイトは今年6月にオープン予定だという。

木戸さんが特設サイトをつくろうと考えた背景には、リハビリ医療に関する情報が不足している問題がある。日本では足が完全に麻痺してしまったら、車いすでの生活を前提にしたリハビリプログラムが組まれる。

「成功確率数パーセントの手術にかけるよりも、車いすでの生活に慣れて、生活を送るほうが良いという考え方がある」(木戸さん)

奥さんの彩さんと二人三脚でリハビリに挑む

奥さんの彩さんと二人三脚でリハビリに挑む

奥さんの彩さんは、事故当時、「再生医療が有効なのは、事故後2週間以内」という情報を知った。そのため、奥さんの彩さんらが必死になってインターネットや文献を調べるも、有効な情報を見つけることに苦戦したという。

しかし、「英語で検索すると、リハビリ医療に関する多くの情報が出てきた」と彩さんは話す。そこには、「歩くための」リハビリ情報が豊富にあり、木戸夫妻は今年1月、リハビリ治療が発達しているオーストラリアとアメリカに視察に行った。

現地のリハビリも体験し、歩くことをあきらめないトレーナーや、リハビリに励む障がい者から勇気をもらったという。

木戸さんは、「こうした情報を日本語で届けて、選択肢を増やしたい」と言う。海外のトレーニングを取り入れた、「再歩行を目指したリハビリ施設」は日本にもあるが、利用料は高く、かつ、保険適用外と経済的負担が大きい。しかし、その価格でも、多数の入会待ちが出ており、確実に「もう一度歩きたい」というニーズはある。

木戸さんはサッカー一筋で生きてきて、明るく、仲間にも恵まれている。事故に逢った当初は、「夜になると、歩けなかったらどうしようかと不安だった」と明かすが、今では、「30年後に奥さんと歩くことが目標」と笑顔を見せる。

事故に遭ったからこそ伝えられるものがあると、ブログで発信し続ける。ブログは一日に2万人から読まれる日もある。「知らない人からも感謝のメッセージをもらえるようになった」。

今回の特設サイトを制作するために、クラウドファンディングで資金を募ったが、5月9日現在で、目標金額の200万円の倍以上となる500万円が集まっている。木戸さんは「多くの人に支えてもらった感謝を形にしたい」と意気込む。

・木戸さんがクラウドファンディングで挑戦しているプロジェクトはこちら

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