はたらく

総合商社が市民との対話へ動き出す、伊藤忠商事のCSRリアルスペースとは

2012年10月26日 7:45 PM はたらく--エシカルな働き方

大手総合商社の伊藤忠商事が本日26日、CSR活動の一環として、アートを通じた「次世代育成」、「地域貢献」の拠点となる「伊藤忠青山アートスクエア」をオープンした。「国内外の芸術や文化の振興」を目的としたギャラリースペースで、一般市民とのコミュニケーションの場として機能する。

 

オープン当日、朝10時からオープニングセレモニーが行なわれた

 

実はこの秋、伊藤忠商事だけでなく、三菱商事・三井物産もリアルなCSRコミュニケーションスペースをオープンしている。商社のようなB to B(Business to Business)の会社にとって、一般市民と関わる重要なコミュニケーションツールとしてCSR活動は注目されているようだ。

今回のオープンにあたり、伊藤忠商事 広報部CSR・地球環境室 小野博也氏/竹内優子氏に、同施設を設立した狙いを聞いた。(聞き手・オルタナS編集部員=山田衣音子 写真・オルタナS副編集長=大下ショヘル)

伊藤忠商事 広報部 CSR・地球環境室長 小野博也氏

-まず、伊藤忠商事のCSR活動の基本的なスタンスについて教えてください。

弊社では次に掲げる5つを柱として、本業と同様、多種多様なCSR活動を行なっています。

【伊藤忠商事のCSRは5本柱】
1、世界の人道的課題への対応
2、環境保全
3、地域との共生
4、次世代育成
5、社員ボランティアの促進

総合商社の仕事は一般の消費者の方と直接関わることが少なくなりがちです。私たちは、CSR活動を行う中で、ステークホルダーに出向いて説明する機会を増やしていかねばならないことを実感しており、上記に掲げた5つの柱を大きな方針としています。

今回のアートスクエアでは、「2、環境保全」と「4、次世代育成」がテーマとなっております。このテーマの下、伊藤忠商事が今まで行なってきた活動とその強みを活かすことに力を入れました。

——一般の方と触れ合えるリアルな場を作るに至った背景を教えてください。

弊社がCSR活動として最初に手がけたリアルな活動の場はキッザニアでした。

商社はB to B(Business to Business)なので、リアルな活動を通じて情報発信する場が今まではなかったのですが、キッザニアでの挑戦を通じ、リアルな場におけるメッセージの発信の重要性を改めて感じました。

他の商社も、テーマを決めたショールームを開設しており、本社に近い場所で一般の方と接することができるリアルスペースを持つことが新しい流れであると感じています。社会との共生が今まで以上に求められていると感じていますね。

——このスペースを通じて伊藤忠商事として発信したいことは何ですか。

発信したいメッセージがいくつかある中で、表現というところはノウハウがないのでアーティストやNPOなどと協力しながら手探りで創りあげていきたいです。自前主義だけでは良いものをる創るのは難しいと思います。NPOなど様々なセクターとの協業が重要だと考えています。

例えば、港区には80個もの大使館があります。大使館側は発信したいが、発信する場所やノウハウがないという話を聞くことがあります。そこで、商社が持つ地域に根ざしたグローバル性を生かし、外国文化のニオイが漂う展示も企画しています。

また、アートスクエア第一弾としてご協力頂く「ねむの木学園」さんは障がいを持ったお子さんの学習を長年支援されており、私たちとは異なる力が秘められています。実は、プロジェクトを始めた後で弊社とねむの木学園とは深いつながりがあることを知りました。「ねむの木学園」が設立された後、一番最初に寄付をしたのが伊藤忠商事二代目伊藤忠兵衛だったのです。

近江商人の「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」の精神が根付いている弊社では、事業活動と社会との両輪をバランスよく考えることが益々必要になってくると考えています。

——同施設での活動以外には、どのようなCSRコミュニケーションを行っているのですか。

5本柱の最後のひとつに掲げているのは、社員ボランティアの促進です。ボランティアに参加する事はハードルが高いので、気づきのきっかけづくりを会社がアシストしたいと考えています。

ボランティア情報を提供するなど、自分の仕事で何かできないのかという気づきを生み出す仕組みづくりがCSR室の役割と考えています。

また、ボランティアに参加した社員は自らが伝道師となってもらっています。社内のイントラネットに意見交換プラットフォームである復興支援サイトを設置し、自らの「気づき」をシェアしています。

こうした現場の空気を全体で共有することで、CSR活動の継続性の大切さを唱える社員が確実に増えてきています。

さらに、社外への発信にも力を入れています。幅広い方に弊社のCSR活動を知っていただくために、以下の3種類に分けて発信しています。

【多様なレポートの発行】
①「CSRダイジェスト」
CSRレポートというよりもビジネス案件を取り上げたダイジェスト版で、社会的課題を発信して行くことを目的としています。今年から会社の受付に置いています。
②「アニュアルレポート」
レポートとしては、今年から統合レポートとして発行しています。
③「CSRフルレポート」
CSRに精通した方向けに会社HPで公開しています。

 

■取材後記

ステークホルダーの特性に合せ、多様なCSRコミュニケーションに挑戦している伊藤忠商事。本業でも現場でのニーズを敏感に察知することで新たな商機を見出し、ビジネスに結びつける「現場力」の強さを生かしてきた。このリアルスペースが、ビジネスで社会問題を解決する新たな挑戦の場となっていくのだろう。(オルタナS編集部員=山田衣音子)

 

■展示会概要

ねむの木のこどもたちとまり子美術展
〜ねむの木学園創立45周年を祝して〜

主催:学校法人 ねむの木学園

共催:伊藤忠商事株式会社

後援:厚生労働省、文部科学省、東京都、港区

ディレクター:宮城 まり子

会期:2012年10月26日(金)~12月25日(火)(会期中無休)

時間:午前11:00~午後7:00 (金曜日のみ~午後8:00)

入場料:一般500円 大学生以下無料

               入場料は全額がねむの木学園の活動に充てられます。

アクセス:http://www.itochu-artsquare.jp/access/index.html

■ 東京メトロ 銀座線『外苑前』駅 出口 4a より 徒歩2分
■ 東京メトロ 銀座線・半蔵門線・都営地下鉄 大江戸線『青山一丁目』駅 出口 1(北青山方面) より徒歩5分

◇ 有料駐車場あり

[伊藤忠青山アートスクエア]
〒107-0061 東京都港区北青山 2-3-1 シーアイプラザB1F
03-5775-3654(受付 平日:午前9:30~午後5:30)

      

幸せの象徴、白い鳩が秋晴れの青山の空に羽ばたいて行った

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