はたらく

リップクリームで通信制高校のフィリピンスタディーツアー支援

2013年12月16日 11:31 AM はたらく--エシカルな働き方

フィリピンの貧困支援を行うココウェル(大阪市都島区)は現地のココナッツを使った寄付金つきのリップクリーム「ココファンドリップ」の販売を11月20日から始めた。通信制高校生のキャリア教育支援を行うNPO法人D×P(ディーピー)(大阪市城東区)との共同プロジェクトで、1商品に付き100円を通信制高校生が参加するスタディーツアーの資金に充てる。若者が社会問題に興味を持つきっかけを提供するのが狙いで、同社の水井裕代表取締役(みずい・ゆう)(36)は「フィリピンの貧困問題の実態を理解し、興味を持つ人を一人でも増やしたい」と話している。(オルタナS関西支局特派員=河田聖)

D×P共同代表の今井紀明さん(左)とココウェル代表取締役の水井裕さん(右)=大阪市都島区(撮影・木田優介)

ココファンドリップは、社会問題の解決に取り組む両者の思いが合致して生まれた。水井さんは、学生時代から途上国の環境問題に関心があった。大学卒業後、専門学校で環境問題を学び、途上国の現状を知るためにフィリピンに留学。現地では鉄くずやプラスチックを集めて生計を立てている子ども達を目のあたりにし、2004年、現地を支援しようとフィリピンの代表的な農作物のココナッツを使った製品を日本で販売するココウェルを設立した。

現地の農家から購入したココナッツオイルを使い、ボディクリームや食用油などを製造・販売している。フィリッピンで雇用を生むために、現地の人々が手作りしていることが特徴だ。ココファンドリップもその一つ。顧客が安心して使えるように、石油由来の成分ではなく、3種類の天然のろうと、ココナッツの果肉から精製・漂泊せずに抽出したバージンココナッツオイルを使用している。ココファンドリップに使用されているマンゴーの香りは、天然精油由来のため、自然な甘さがある。

売上の一部がフィリピン・スタディーツアーの資金になる新商品ココファンドリップ=大阪市都島区(撮影・木田優介)

今回のプロジェクトが実現したのは今年9月 にD×P共同代表の今井紀明(28)さんから打診を受けたのがきっかけだ。今井さんは18歳だった2004年、イラク人質事件の当事者となり、帰国後「自己責任」という言葉で非難を受け対人恐怖症になった経験がある。

人と接するのが難しく立ち直るまで時間が要したが、友人らの助けによって復帰したのを機に、いじめを受けたり、学校に馴染めず不登校や中退を経験したりした人が多い通信制高校のキャリア支援事業に乗り出している。

その事業の一つが、企業インターンなど学外で活動する機会を通信制高校生に提供するチャレンジプロジェクト「フォルテッシモ」で、実際に参加した生徒から「活動で得た経験を踏まえさらに視野を広げるため、海外派遣に参加したい」との声が上がった。

しかし、経済的余裕のない家庭の生徒もいたため、派遣しやすい体制を作るべく、商品を通じて資金を募れないかを考え、以前から交流のあった水井さんに相談したという。水井さんと今井さんは2012年、大阪の課題解決に向かう志を持つ実践者のプラットホーム「大阪を変える100人会議」で出会い、事務所が近いこともあり交流を続けていた。

プロジェクトの目標は、2014年夏に通信制高校の生徒1人をフィリピンの貧困地域を巡るスタディーツアーに送り出すことだ。ココファンドリップ1本630円(税込)を2800本売り上げることで達成できるという。

今井さんは、「海外派遣を通して通信制高校生に自信を持ってほしい」、水井さんは「スタディーツアーで貧困問題だけではなく環境問題といったさまざまなことを見たまま感じてほしい」と語った。

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