はたらく

ダム建設予定地で暮らす「ほたるの守りびと」を映画化

2016年7月7日 9:36 PM はたらく--エシカルな働き方

蛍の里として知られる長崎県東彼杵郡(ひがしそのぎぐん)川棚町川原(こうばる)地区に、住民の反対をよそにダムが建設されようとしている。事業主は利水と治水を理由に計画を進めるが、人口減が続くなかで、水需要の予測は正しいのか。このたび、同地区に住む住民を「ほたるの守りびと」として、映画化する動きが起きている。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

ダム建設予定地とされている石木川。この小さな川に、総貯水容量約548万トンの巨大なダムが作られようとしている

ダム建設予定地とされている石木川。この小さな川に、総貯水容量約548万トンの巨大なダムが造られようとしている

川原地区には、13世帯の家族が暮らしている。同地区に建設されようとしているのは、「石木ダム」。建設計画の話は1970年代に持ち上がった。事業主は長崎県と佐世保市で、建設する理由として、「将来の佐世保市の水不足に対応するため」「川棚川の治水対策」と説明している。しかし、同市は全国の市町村の中で人口流出率が6位の地域で、90年代から水需要は低下している。さらに、河川改修によって、治水対策も進んでいる。

佐世保市の予測と実態は乖離

佐世保市の予測と実態は乖離

長崎県と佐世保市は2009年に、国に対して事業認定申請を行い、2013年に認められた。それ以降、事業主と住民との間で十分な議論を重ねることなく、農地の強制収用などが起きている。

石木ダムを造るためには、関連設備費用も含めると540億円の費用がかかるとされている。ダム、導水管などの維持費は水道代として将来世代が負担し続けることになる。そして、なにより、この地に住んでいた住民の土地は強制収用されてしまう。蛍の名所として知られていた里もなくなってしまうのだ。

こうした状況で、ダム建設に反対を唱える人たちを追ったドキュメンタリー映画が制作されている。監督は広告代理店で働く山田英治さん。「ダム建設に反対する人たちへの誤ったイメージを変えたい」と制作した意図を話す。

「川原地区に暮らす人たちは、小さな里山の集落に暮らす、ごく普通の人たち。にもかかわらず、報道では、過激なシーンばかりが描かれてしまう。『ほたるの川のまもりびと』として映画化し、その印象を変えたい」(山田さん)

川原地区で起きていることは、「特別な地域の、特別な人たちの話ではなく、ふるさとを持つ日本人なら誰もが関わる可能性のある問題であることを伝えたい」とコメント。

右からカメラマンの百々新さんと監督の山田さん

左からカメラマンの百々新さんと監督の山田さん

山田さんは東日本大震災を機にクリエーターとしてのスタンスを変え、社会的課題の解決を主軸に置き活動している。今回の映画では、石木ダム建設について、反対している人たちの「思い」と、推進している側の「論理」を知ってもらうことを目指す。

山田さんは、「税金で強行されようとしているダム建設が、反対住民の生存権を奪ってまでも、公共の福祉に資するものであるのかどうかを考えるきっかけにできれば」と意気込む。

現在、クラウドファンディングサイト「A-port」で映画の制作資金700万円を集めている。

・クラウドファンディングに挑戦中!詳しくはこちら

ほたるの川のまもりびと(仮)はこちら↓

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